数学や科学における新しい発見
数学や科学で新しい発見をしてみたい!という方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
大発見や大発明は難しくとも、あと運もありますが、それなりに重要で皆が面白いと感じる発見は至るところに転がっています。
少し大変ですが、発見の方法を知りそこそこの数をこなせれば、誰でもその喜びに出会えるだろうと思います。
実際に私の場合は、高校数学の教科書の延長線で見つけた公式が2つくらいあります。それも多くの方が知っているパスカルの三角形やピタゴラスの定理の延長線にありました。
具体的には、パスカルの三角形からは組合せの次のような公式を、
\({}_{x+y} \mathrm{C} _x\,=\,\sum_{k_1=0}^x(\sum_{k_2=0}^{k_1}(\,\cdot\cdot\cdot\sum_{k_{y-1}=0}^{k_{y-2}}(\sum_{k_y=0}^{k_{y-1}}(1))\,\cdot\!\cdot\cdot\,))\)
ピタゴラスの定理からは、その拡張として\(x^2+y^2+z^2=w^2\)が頂点周りの3面が直角三角形で構成された四面体の各面積となっているという定理を発見しました。
前者は高校時代に後者は大学時代に、みなと同じ教科書を読んでいるときにあるいは友人と話をしているときに思い付きました。後者は、Wikipediaによるとルネ・デカルトの頃にはすでに知られていた由緒ある定理とのことで、とはいえ公に知られるようになってから300年も経っていないそうです。
参考ページ:ド・グアの定理
既知であるかは別にして、このような小さな発見と学習の積み重ねが、将来に花咲き大きな実を付けることに繋がります。いつそれが始まるかは多少異なりますが、過去の多くの著名な学者たちのノートにはその積み重ねが記述されています。
通常、一つ発見できるようになると、次の一つ、また次の一つと続いていくものです。そして、大発見の前には、その人なりのたくさんの努力と小発見があります。興味を持って自分なりの探求を積み重ねていく人は、自然と研究の先端に進んでも発見の連鎖がそのまま継続していきます。
最も有名な数学者の一人であるガウスもその一人ですが、幼少の頃より卓越した才能を示したとはいえ、その発見の段階は小発見の連続から大発見の連続へと自然と階段を昇っていくエピソードに溢れています。そして彼は、深く長く考えれば誰でも私のような発見をなすことができる、という趣旨の言葉を残しています。後述の大栗先生の著書の中でもプリンストン高等研究所の天才たちの顕著な特徴は、諦めずに根気よく長く考え続けていること、と紹介されています。
最も有名な科学者の一人であるニュートンは、私の発見をすごいと世間は言うかもしれないが、私にとってそれは真理の大海を目の前にして、砂浜で貝殻を拾って遊ぶ子供のようなものだった、というような言葉を残しています。つまり、大海に船出すらしておらず、数多ある貝殻拾いしかしていない、という意味を含んでいます。
学者となるには先端研究に至るまでの長い学習の積み重ねが必要ですが、研究者を目指す学生の中でも、それは二者択一ではなく、いつ花開くかは分かりませんが、発見を上手くできる人とどちらかというと苦手な人がいます。そこには適性や才能という要素がないとは言いませんが、広く科学史を見渡せばより大きな要素として、その分水嶺には明らかに学習法や教育(探究方法を学んだか)があります。
もちろん、発見だけではなく知ること自体に面白さがあり実用があり、学習が得意な方、教育が得意な方、応用が得意な方、様々な個性があり、それらの個性はかけがいのない大切なものです。一方で、学術の柱に探求とその結果である発見があることは、健全な学術の維持・発展には避けられない事実と言えます。
そして確かなことは、発見のためにはそれなりの方法があるということです。発見の連鎖を生むためには、自分なりの学習の積み重ねの中で、一般的なものと自分なりのものと、その発見の方法を体得することが大切です。生徒の皆さんと共に学ぶ中で、私が知りそして培ってきた発見の方法をお伝えしていきたいと思います。
ただ、それこそがソクラテスやデカルトが提唱した探究法それ自体に他ならず、彼らは発見の方法、それ自体すら探究した偉人たちです。付け加えて、私なりの実体験を含めてお伝えできればと思います。
それが様々な場面で生徒の皆さんの大なり小なりの助けになるだろうことを期待しています。一人ひとりがすでに持っているその人だけの素晴らしいものを輝かすお手伝いをさせて頂ければ光栄です。
ちなみに、受験勉強の場合も、深い基礎の理解の上に演習をこなすことが数学の勉強法の王道です。それは大栗先生の後述の著作を読むとよく分かります。深い基礎の理解と演習で培った実力に加えて、志望校・試験対策、総復習を怠らなければそれなりの十分な結果が付いてくるでしょう。
こちらの記事でも一般的な数学の勉強の仕方や受験等の試験対策が必要な場合を、その違いを含めて詳しく解説していますので参考にしてみてください。→『新学期にあたり高校数学の勉強の仕方について』
探究のための推薦図書
1.「探究する精神 職業としての基礎科学」大栗博司著
現在、日本で最も著名な物理学者の一人である著者が回顧的に半生を振り返り、自らの学問に影響を与えた学者やその著作を紹介しつつ、科学的探究の意義を解説した本です。直近の日本生まれ、日本育ちの学者であることから日本国内の教育制度の中で、著者がどのように教養を深め、学問的探究心を育んできたかを知ることができ、多くの日本人の学びの参考になると思います。
私個人として驚いたのは、著者の幼少期からの学問的感性の鋭さです。高校時代には、決して日本の教育制度では強調されてはいない下記の二冊を受験勉強の教科の中で見い出し、そしてきちんと原著にあたり自分なりの考えを深めていたということです。著作の中でも触れられるリベラルアーツの最も大事な部分を高校時代には自学自習の中ですでに身に付けていたということになります。
2.「方法序説」デカルト著, 谷川多佳子訳
上記の大栗少年が高校時代に感銘を受けたように、現代の多くの科学者、学者の基礎教養として、学問的探究のための方法を解説しています。近代文明の幕開けを強力に押し進めた名著となります。
3.「ソクラテスの弁明 クリトン」プラトン著, 久保勉訳
古代の学問観を一新したソクラテスの言行録となります。その合理性、論理性は現代文明にも脈々と受け継がれ、リベラルアーツの基礎中の基礎の名著です。
上記1は、難しい内容もありますが、基本的には分かりやすくとっつきやすい難易度になっていると思います。上記2と3は言葉も難しく、多少なりとも歴史的な背景を知り、「重要な個所」がどこなのか、そして「何を言わんとしているのか」を深く考えてみないと分からないかもしれません。
時間をかけて何度も読み直してみることが、その内容を自分の中の理解として育てることに繋がり重要です。ただ、読解に挫折しそうだ、自分の理解が正しいのか誰かと話してみたい、と感じられた場合には、ぜひ当教室にご相談ください。
ちなみに、私の場合は大栗少年ほどの感性はなく、高校時代は他の哲学者との名前以上の区別は付かず、大学時代にICUのリベラルアーツ教育や中央法科大学院の中でその重要性を知り、ただそれも教養を超えるほどの理解には至らず、学びを深めて行ったのは20代のプログラミング開発や数学研究の中においてでした。
だからこそ、老若男女の違いはありませんが、ことさらに世界に羽ばたく若者たちには早い段階でこのような本物の学問に触れ、学びを深める体験をしてもらいたいと切に願っています。
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