アイデアノート、研究ノートのススメ

何かアイデアが浮かんだ時には、それをノートに書き留めておきましょう。例えば、数学の証明が頭に浮かんだとしても書き留めておかなければそれを後から思い出すことができないこともあります。それは、著名な数学者も同じで、ガウスは代数学の基本定理の完全な証明を思い付いていたけれど、書き留めておかなかったために大変な苦労をして再発見したと彼の数学日記で述べています。

そして、アイデアノートや研究ノートには必ず日付を付けましょう。ノートの表紙に期間、日記のように書き留めた日にちを付けていくと良いと思います。そうすることでアイデアを思い付いた証拠にもなりますし、記憶にも残り、将来見直したときに自分の考えの発展ぐあいを知ることができます。

多くの著名な数学者が研究ノートや数学についての日記を残していますが、最も有名なところでは「ガウスの数学日記」があります。これは彼が19歳頃の大学入学くらいに書き始めたようですが、日付と発見した事項が簡潔に書かれています。簡潔ですがその内容は華々しいもので、彼の残した他のメモや発表資料と比較して後のガウス研究の基本資料となりました。

基本的にアイデアノートや研究ノートには、試行錯誤を含めて自分が考えたことを中心にすべてを書き留めておくことをお勧めします。一方で、そうすると研究が充実してくると共に大量のノートになると思います。それはそれで良いのですが、重要なアイデアの見通しが当然悪くなってきますので、そうしたときには「ガウスの数学日記」のように重要事項のみを抜き出したノートを別に付けても良いと思います。

私の場合は、A4のノートを長年使っています。分野毎にタイトルと日付を付け、日記のように用いています。数学ノートは学生の頃から断続的につけていますので、もう何十冊なのかそれ以上なのかも分かりませんが、これというアイデアはノートに書いた記憶として残っています。

研究ノートでもありますので、論文なども数学ノートを見ながら書きます。日記ノートもあって手元にはこちらを置いてパッと思いついたことでも何でも日記ノートに気軽に書きます。これは数学ノートを寝室に持ち込むと切りがなくて眠れなくなるのに、けっこうアイデアが出るのは寝る前と目覚めの時のことも多いので折衷案になります。役に立ちそうなことは後で数学ノートに整理して書き直すようにしています。

「ガウスの日記」以外に、数学で有名なのはガウスの日記、ラマヌジャンやグロタンディークのノートがあります。グロタンディークは、どんどん書けなどと言っていた気がします。手書きのノートには整理整頓されたものとは違って、アイデアが生まれた瞬間の情報量がそのまま残っている良さがあります。10~20年後にさえ現在のデジタルフォーマットが簡単に使えているのかどうか分かりませんので、やはり手書きをお勧めします。

ノートではありませんが遺稿の内容が学問を大きく進めることは数多あります。デカルト、オイラー、ガウス、ガロア、ラマヌジャン、グロタンディーク、、著名な研究者の遺稿を読んでみるのもその研究の息吹を感じることができて大きな学びがあります。彼らのような大数学者の場合には、今でも研究が続けられていてすべてが解明されていないということが普通にあります。ちなみに、リーマンの遺稿は遺品整理の際にいくらか燃やされてしまったそうで、返す返すも数学者たちを残念がらせ、また数学者たちの頭を悩ませる原因にもなっているようです。